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世界が終わりますように。


 今この瞬間世界が終わればいいのに。俺の悩みも知らないふりをしてほしい。そしたらほら全部終わるでしょ。煩わしい事もなくなっちゃって。んで誰も悩まなくって。そしたら最高じゃないか。皆幸せじゃないか。けれどそれは、無い。
 そうだ、これは全部下らない妄想だ、机上の空論だ、嘘だ。リアルは、そう、今から君に会いに行く。
 君にはいつも会っている。毎日顔を突き合わせてそして毎日喋って。
 けれど今日は違うんだ。意味を。意味合いを、変える。
 君に会いに行く。今から、俺が、君に。
 震える拳が叩いた扉は短い音で響いた。奥からはいという君の声、どんな高級なヴァイオリンだって敵わない様な深い音色が響いて、更に俺は震える。
「あら…いかがなさいましたか」
 白くて美しい肌だ。染み一つ無く、破壊一つ無く、絹の様に滑らかで陶器の様に白い。柔らかいのだろう。触れた事はないけれど。
 その肌を覆う様なブロンドの髪のなんと美しい事か。降り注ぐ太陽の様に明るい、収穫間近の稲穂の様に豊か、ゆるやかに波打つ様はまるで、ああ、何だ、形容出来ない。
 俺をのぞきこむその蒼い眼も、なんと美しいのだろう。全ての生命を抱擁する海よりも深く、そして海の様にしっとりと濡れている。
 溢れる感情が爆発する、眩暈、くらり。世界が歪む。この瞬間終わればいいのに。この持て余し気味の感情も、全部、全部なくなっちゃえばいいのに。
「お体の調子でも悪うございますか? 顔色が優れませんわ…夜更かしでもなさった?」
 ふわりと笑う。
 その瞬間、世界は全ての均衡を崩した。
 伸ばした指を、君はどう思う。ねえ。
 今、俺は君を抱きしめる。初めて埋めた君の金髪や首筋は、眩暈がする程甘い。君の顔は見えない。見るのが怖い。腕に込めた力は、やっぱり震えてる。
 好き、って声にならないぐらい小さく呟くから、出来る事なら笑ってよ。
 ああ、今この瞬間、世界が滅びますように!(この後の現実なんて幸せだろうが不幸だろうが見たくねえ!)